来絶
らいぜっ
名詞
標準
文例 · 用例
四辺には人の往来絶えて、大路の片隅に果物売の媼一人露店出して残りたり。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
大通いずれもさび、軒端暗く、往来絶え、石多き横町の道は氷れり。
— 国木田独歩 『源おじ』 青空文庫
そうして、鋼鉄製あるいはジュラルミン製の糸車や手機が家庭婦人の少なくも一つの手慰みとして使用されるようなことが将来絶対にあり得ないということを証明することもむつかしそうに思われる。
— 寺田寅彦 『糸車』 青空文庫
○千住の大橋は千住駅の南組中組の間にかゝれる橋にして、東京より陸羽に至る街道に当るをもて人馬の往来絶ゆることなし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
およそこゝの橋より下は永代橋に至るまで小蒸気船の往来絶ゆる暇なく、石炭の烟、機関の響、いと勇ましくも忙はしく、浮世の人を載せ去り載せ来るなり。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
雁坂の路は後北条氏頃には往来絶えざりしところにて、秩父と甲斐の武田氏との関係浅からざりしに考うるも、甚だ行き通いし難からざりし路なりしこと推測らる。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
しばらくしてその叫喚がややしずまったので、葉子はようやく、横浜を出て以来絶えて用いられなかった汽笛の声である事を悟った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
そして木部と別れて以来絶えて味わわなかったこの甘い情緒に自分からほだされおぼれて、心中でもする人のような、恋に身をまかせる心安さにひたりながら小机に突っ伏してしまった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫