紙漉き
かみすき
名詞
標準
文例 · 用例
七八十人の人間が従事している小さい工場ですが、機械工業になってもまだ手練の業の必要な製紙業に対して、代々、紙漉きに慣れて来た土地の子弟たちには何か持前の熟練がありました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
膝をり伏せて○紙漉き家々に 谷川引きて 水湛へ、歌うたひつゝ 少女紙すく※紙買ひに来る人おほし。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
ほかには彫物、竹笠作り、駕籠作り、紙漉き、元結、草履、繩細工、米搗き、大工、左官、百姓、炭団、などという職種があり、もっこ部屋の残された人足たちは、これらの仕事の助け役をするわけで、材料を船からおろしたり、成品を積み込んだり、手のたりないところを手伝ったりするのであった。
— 山本周五郎 『さぶ』 青空文庫
和地家の御恩田も風で吹き倒されたところへ水をかぶり、その年はついに一粒の収穫もなしに終った、また郁之助はだんだんと衰弱が増すばかりで、医薬の費えだけでも分に過ぎた重荷だった、それで僅かでもその費えを助けようと、伊緒は夜仕事に紙漉きのわざをならい、凍てる夜な夜な、水槽の氷を破ってしごとをはげんだ。
— 春三たび 『日本婦道記』 青空文庫
雨はそこらの牛飼の家や、紙漉きの小屋を秋のように、腐らせていた。
— 水の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
あそこの塗師屋の裏で、紙漉きだの桶屋の若い衆たちが集まって、剣術をやっているから、そこへ試合に行って、一度、勝っておくれよ」「よしよし」 武蔵は、城太郎のいうことには、何でも頷く、彼は少年が好きなのだ。
— 水の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
紙漉場などをもって、細々と暮していた養家では、その頃不思議な利得があって、遽に身代が太り、地所などをどしどし買入れた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
お島は糸屑を払いおとして、裏の方にある紙漉場の方へ急いで出ていった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫