霊話
れいはなし
名詞
標準
文例 · 用例
支那で最も多いのは、幽鬼、寃鬼即ち人間の幽霊であるが、我国でも人間の幽霊話が最も多いようである。
— 岡本綺堂 『妖怪漫談』 青空文庫
勿論番人も無い、入口の戸も数年前に外した儘で、今以て鎖して無い、荒ら屋中の荒ら屋だ、頓て塔へ上る階段の許まで行くと、四辺が薄暗くて黴臭く芥臭く、如何にも幽霊の出そうな所だから、余は此の屋敷に就いての一番新しい幽霊話を思い出した、思うまいと思っても独り心へ浮んで来る。
— 黒岩涙香 『幽霊塔』 青空文庫
「なるほど、ではそのお嬢様の幽霊話はあとにして、清姫様の帯の謂れ因縁から説き明かすことに致しましょう」 ようやく話は本問題に入るのである。
— 竜神の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
もし、その晩に姿だけ見せて、関東へ向け立ち去ったならば、永く幽霊話となって伝わるに相違ない。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
……私は不意に先刻母が語って聞かせた大貫村の幽霊話を思い出して、急いで母の後に隠れて、しかとしがみついた。
— 小川未明 『北の冬』 青空文庫
兎も角、一時はこの時代錯誤な幽霊話が、東京市民からあらゆる話題を奪ってしまった。
— 江戸川乱歩 『黄金仮面』 青空文庫
幽霊話とは云い条、少くとも十数人の精神健全な人々が、日を違え場所を変えて、確かにその黄金仮面の人物に出会っている。
— 江戸川乱歩 『黄金仮面』 青空文庫
武家に育つて武家に縁付いた彼女は、夢のやうな幽靈話を人に語るのを恥ぢて、その夜の出來事は夫にも祕してゐたが、濡れた女は次の夜にも又その次の夜にも彼女の枕もとに眞蒼な顔を出した。
— お文の魂 『半七捕物帳』 青空文庫