禀
禀
名詞
標準
文例 · 用例
私は志賀直哉の新しさも、その禀質も、小説の気品を美術品の如く観賞し得る高さにまで引きあげた努力も、口語文で成し得る簡潔な文章の一つの見本として、素人にも文章勉強の便宜を与えた文才も、大いに認める。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
卑屈な禀性や、すたれた才能や、いかさま生活や……いろんな自己嫌悪がむらがって来る。
— 渡辺温 『遺書に就て』 青空文庫
天禀ならむは教へずとも大なる詩人となりぬべし。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
その底蘊は天禀にあるべき詩歌小説を、杓子定規の理窟詰にて作り出さむこと覺束なし。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
國民をして公正(δικατοσ※νη)を得しむるの謂で、これは禀賦各相殊なるものをして適材の適處に居るに至らしむるに外ならぬのである。
— 森鴎外 『古い手帳から』 青空文庫
この一原子ごとに宿る生命は詩人の気禀、思想、感情、感覚、及び心肉に氾濫する意力と感動の速度、調律の如何によつて、初めて種種雑多の形式に於て統合され、円融され、開顕されるのである。
— 北原白秋 『海豹と雲』 青空文庫
そのみなもとを悲しめ、而して至醇なそのみなもとの歌の気禀をかりそめにも傷くるな、笛の匂を知れ、完成された大和歌の心根に更に悲しい銀光の燻しをかけよ。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
だが甞て乱暴したということもなくてどっちかというと酷く気の弱い所のあるのは彼の母の気質を禀けたのであった。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫