香火
こうか
名詞
標準
文例 · 用例
あたりに人家もなく、その寺に住職と二人の徒弟が住んでいたが、いずれもぼんやりした者どもで、わずかに仏前に香火を供うるのほかには能がないように見られた。
— 閲微草堂筆記(清) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
ただ食時に至り厨家ごとに香火を薦むれば、あらゆる飲食随って前に列すと。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
すなわち大黒神は今もインドで大陽相を以て表わして盛んに崇拝するシワの眷属ながら、仏法を敬し、僧衆を護り、祈れば好いたものを授ける、台所で香火を供えて願えば、たちまち飲食を下さるというのだ。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
終に萬治三年十月八日、東叡山なる三代將軍の廟に詣でて、萬斛の熱涙を香火と共に墓前にさゝげ、瓢然去つて其領佐倉にかへりぬ。
— 大町桂月 『宗吾靈堂』 青空文庫
右の巨大なる石の地蔵尊が安坐しているその膝元には、まだ消えやらぬ香煙が盛んに立ちのぼり、供えられた線香の量が多いものだから、香火が紅々と燃え立つようになっている。
— 恐山の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
2523 水師の戸外に立てど神壇恐らく戸の前にありて香火を燒きしならむ。
— ILIAS 『イーリアス』 青空文庫
沖縄などでは北山の城蹟は、今もって悲しい荒墟でありが、国頭全郡の旧姓にしてユタの言に聞き、北山王をもって一旦忘れたるその家の遠祖と信じ、年々きたって香火をささげる者が、すでに数万人におよんでいる。
— 柳田国男 『雪国の春』 青空文庫