息声
いきごえ
名詞
標準
文例 · 用例
着物で口を抑えられた「むふ、むふ……」という息声だけが、一寸の間聞えていた。
— 小林多喜二 『蟹工船』 青空文庫
ながめには尚遠くの物を見る眺めと、溜息声を出して諷ふ場合がある。
— 折口信夫 『熟語構成法から観察した語根論の断簡』 青空文庫
これからは、少々手荒いかも知れませんゾ」 急に威勢がよくなって、アコ長ととど助の二人、息杖を取りなおすとエッホ、エッホと息声をあわせながら韋駄天走り、下高井戸から調布、上田原とむさんに飛んで行く。
— 猫眼の男 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
張上げて泣いてやりけりお年玉 お年玉を貰ったからもう泣くのではない、などとすかされて、止めようかとも思ったが、何だか甘く見られるのが癪なので、いま一息声を張上げて泣いてみせるのであります。
— 高浜虚子 『俳句の作りよう』 青空文庫
巌を搏った怒濤のように、二つの息声が、精神の飛沫を揚げ合ったとたんに、中天の太陽をも斬って落すような高さから、長刀物干竿の切っ先は、細い虹をひいて、武蔵のまッ向へ跳んで来た。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫