掏り替え
すりかえ
名詞
標準
文例 · 用例
「掏り替えちゃいけないぜ」「まあ黙って、待っていらっしゃい」 糸子は兄の眼を掠めて、長い袖の下に隠した本を、しきりに細工していたが、やがて「ほら」と上へ出す。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
病中に奉公人どもが掏り替えたのか。
— 一つ目小僧 『半七捕物帳』 青空文庫
そんなことをいろいろ考えると、おかみさんが自分でしたか人にやらせたか、楽屋のごたごたしている隙をみて、本物の刀と掏り替えて置いたに相違ないと、わたくしが疑ぐるのが無理でしょうか。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
いよいよ舞台へ出るという間ぎわに多分取り違ったか、掏り替えられたか。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
いくら御主人でももう堪忍ができないような気になって、わたしは気が狂ったのかも知れない……今度の年忘れの芝居をちょうど幸いに、日蔭町から出来合いの刀を買って来て、幕のあく間ぎわにそっと掏り替えておくと、それが巧く行って……。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
それを率きて行き暮れて旅亭に宿り驢と同室に臥すを怪しみ亭主が覗くと、銭多く出す様子、因って一分一体|異らぬ他の驢をかの児の眠った間に、金の糞する驢と掏り替えた。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
それを持ってまた同じ旅亭に宿り、前のごとく掏り替えられ、叔父に泣き付くと、仏の顔も三度と呟きながら、今度は打てと命ずれば他を打ち続け、止めと命ずれば止む杖をくれる。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
上の爺怒って小犬と魚を掏り替えて還った。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫