段梯子
だんばしご
名詞
標準
文例 · 用例
S=廊下 障子破れて、襖が倒れて、五六人の黒い影が組んづほぐれつ段梯子を折り重って転がり落ちる。
— 山中貞雄 『森の石松』 青空文庫
「ここは橋本という昔から名代の料理屋です」 かの女は、峠のように折れ曲り、上ったり下ったりする段梯子を面白いと思った。
— 岡本かの子 『高原の太陽』 青空文庫
逃げたらあかんし」と蓮葉に言って、赤い斑点の出来た私の手の甲をぎゅっと抓ると、チャラチャラと二階の段梯子を上って行ったが、やがて、「――ちょんの間の衣替え……」と歌うように言って降りて来たのを見ると、真赤な色のサテン地の寝巻ともピジャマともドイスともつかぬ怪しげな服を暑くるしく着ていた。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
「叔母さんは」「先程お嬢さまと何処らへか」「そう」 ト言捨てて高い男は縁側を伝って参り、突当りの段梯子を登ッて二階へ上る。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
ここが松島と今の若い姐さんの品子と、朝夕に睦み合った恋愛生活の巣で、銀子たちはうっかりそこへ上がってはならず、伝票を渡すにも段梯子の三四段目から顔だけ出すというふうであった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
すると松島は近所で聞こえる燧火の音に神経が苛立ち、とんとんと段梯子をおりて来て、「おい、近所は忙しいぞ。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
」 十二 倉持が株券の詰まった鞄をひっさげて、そのまま帰ってから三四日も間をおいて、銀子はまた同じ家から早い口がかかり、行ってみると、女中が段梯子の上がり口へ来て、そっと拇指を出して見せ、倉持の母が逢って話をしてみたいと言って、待っていると言うのだった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
さんざんに銀子とやり合った果てに、太々しく席を蹴立てて起ち、段梯子をおりる途端に裾が足に絡み、三段目あたりから転落して、そのまま気絶してしまった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫