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空山

くうざん
名詞
1
標準
文例 · 用例
馬返しより太郎坊まで、羊歯の小自由国や、蘚苔の小王国を保護して、樅落葉松の純林、戟を揃へて隣々相立てるあり、これありて裾野の柔美式なる色相図に、剛健なる鉄銹色を点し、無敵の冬をも呵して、一路空山|料峭の天に向ひて立つものあるなり。
――明治三十六年八月七日御殿場口にて観察―― 霧の不二、月の不二 青空文庫
やがて長閑な馬子唄が、春に更けた空山一路の夢を破る。
夏目漱石 草枕 青空文庫
ようやく空腹を覚えて来たが、空山不見人と云う詩中にあると思うと、一とかたげぐらい倹約しても遺憾はない。
夏目漱石 草枕 青空文庫
輙ち橋を渡りて僅に行けば、日光|冥く、山厚く畳み、嵐気冷に壑深く陥りて、幾廻せる葛折の、後には密樹に声々の鳥呼び、前には幽草歩々の花を発き、いよいよ躋れば、遙に木隠の音のみ聞えし流の水上は浅く露れて、驚破や、ここに空山の雷白光を放ちて頽れ落ちたるかと凄じかり。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
一月二十六日良寛上人寂寞空山是故郷  寂寞たる空山これ故郷、結庵來臥老杉傍  庵を結び来り臥す老杉の傍。
河上肇 閉戸閑詠 青空文庫
予等は梅花の一瓣にも、鶴を想ひ、初月を想ひ、空山を想ひ、野水を想ひ、断角を想ひ、書燈を想ひ、脩竹を想ひ、清霜を想ひ、羅浮を想ひ、仙妃を想ひ、林処士の風流を想はざる能はず。
芥川龍之介 続野人生計事 青空文庫
予等は梅花の一弁にも、鶴を想ひ、初月を想ひ、空山を想ひ、野水を想ひ、断角を想ひ、書燈を想ひ、脩竹を想ひ、清霜を想ひ、羅浮を想ひ、仙妃を想ひ、林処士の風流を想はざる能はず。
このジャアナリズムの一篇を謹厳なる西川英次郎君に献ず 梅花に対する感情 青空文庫
前後は杉の木立で、足下では沢の水が淙々と鳴って、空山の間に響きます。
慢心和尚の巻 大菩薩峠 青空文庫