悪謔
あくぎゃく
名詞
標準
文例 · 用例
しんとした夜の静かさの中で悪謔うような淫らな女の潜み笑いが聞こえた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
或は狂人の所為かと疑ひ、或は何人かの悪謔に出でたらしくも思つた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
我、悪謔一番して曰く、然り、彼等は少なくとも今の独逸人よりは偉大なり。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
と、同時に、あとの四人、いずれも、抜き連れた刀に、赤黒い灯火を宿させて、間柄助次郎の手にあまったら、ほんとうに、即座に斬り伏せようという気勢――もはや、弄び嘲けって悪謔をほしいままにしようなぞという、いたずら気は毛頭なかった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
」 トルストイ夫人は夫の悪謔から、巧妙に客を救ひ出した。
— 芥川龍之介 『山鴫』 青空文庫
「知れたことよ、貴様ぐらいの小坊主がちょうど投込みごろの小坊主だ、スポーンと投げ込んでみたい、古井戸や坊主飛び込む水の音、スポーン」 神尾主膳は悪謔を弄しながら盲法師を抱き上げたものらしい。
— 小名路の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
此以上、そこへ何の手をも加へず演出したら宛然人情本中の好情景であるのに、惜しい哉、彼、伯龍は、いまゝで同衾してゐた男女のひとりが先づ起出でゝ厠へ行つたは、必らずやその直前に情交してゐたのでなければならないと云つた風な、愚劣な悪謔を弄したことだつた。
— 正岡容 『吉原百人斬』 青空文庫
われわれはそれを排斥したのであるが、本当に生きてた異常な一|典型のうちにパリーは、ギリシャの赤裸とヘブライの潰瘍とガスコーニュの悪謔とを結合している。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫