数層
すうそう
副詞
標準
文例 · 用例
芸術が人に与うる興味は、飲食物のそれよりも、更に数層複雑なものであること勿論である以上、味いは無くても面白い歌という歌は有得べく思われる。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
手渡す驕慢の弟より、受け取る兄のほうが、数層倍苦しかったに違いない。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
次はヘルマン・チェッツ百貨店の二三町もあり相な延大な飾窓は、殆ど実物大の小屋の数層を数多見せ、サンタクロースが壮厳にある屋根から降りつつ見る下の此処彼処の家に、小児が贈物を待ちつつ眠るところ、何れも豪華に独逸の精力的な重大性を見せたものです。
— 岡本かの子 『伯林の降誕祭』 青空文庫
チャップリンよりもあるいはむしろロシアのエイゼンシュテインに文楽を見せて、そうして彼の理論に立脚した文楽論を聞く事ができたらさだめておもしろいことであろうと想像される、彼はおそらく左団次の修禅寺物語よりは数層倍多くの暗示と示唆を発見するであろう。
— 寺田寅彦 『生ける人形』 青空文庫
鉄柵扉の後方に数層の石段があって、その奥には、金庫扉らしい黒漆がキラキラ光っている。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
実はその基礎理論の上に、さらに数層の技巧が必要なのです。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
もし私の見た兄さんと、私の理解した兄さんがこの一封のうちに動いているならば、私は今より数層倍の手数と労力を費やしても厭わないつもりです。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
それに竜となると角があったり火を吐いたり、異類異様に振る舞うから、その解決は蛇より数層むつかしく、孔子のいわゆる竜に至っては知るなきなりだ。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫