釉
ゆう
名詞
標準
文例 · 用例
西の方には木曾御嶽が、緩斜の裾を引いて、腰以下を雲の波で洗わせている、乗鞍岳は、純藍色に冴えかえり、その白銀の筋は、たった今落ちたばかりの、新雪ででもあるかのように、釉薬をかけた色をして、鮮やかに光っている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
新火山のことだから、土の締まりは、しッくりしていない、むしろ危ッかしいほど、柔脆の肉つきではあるが、楽焼の陶器のような、粗朴な釉薬を、うッすり刷いた赤る味と、火力の衰えた痕のほてりを残して、内へ内へと熱を含むほど、外へ外へと迫って来る力が、十方無障碍に放射することを感ずる。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
その下の棚に青い釉薬のかかった、極めて粗製らしい壷が二つ三つ塵に埋れてころがっているのを拾い上げて見た。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
実に粗末なものではあるが、しかし釉の色が何となく美しく好もしいので試しに値を聞くと五拾銭だという。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
困り入ってどうしたものかと考えながらその解釈を捜すような心持で棚の上を見ると、そこに一つの白釉のかかった、少し大きい花瓶が目についた。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
これも粗末ではあるが、鼠色がかった白釉の肌合も、鈍重な下膨れの輪郭も、何となく落ちついていい気持がするので、試しに代価を聞いてみると七拾銭だという。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
それをさっき買った来た白釉の瓶に投げ込んで眺めているといい気持になった。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
壁の嵌め込み棚の中の和蘭皿の渋い釉薬を見る。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫