潤み
うるみ
名詞
標準
blur
文例 · 用例
だが、見つめていると、紅い一面の雲のような花の層に柔かい萌黄いろの桃の木の葉が人懐かしく浸潤み出ているのに気を取り倣されて、蝙蝠傘をすぼめて桃林へ入って行った。
— 岡本かの子 『桃のある風景』 青空文庫
そういうあたりまえのことにひょいと気がつくと何とも知れない涙が眼の奥から浸潤み出るのだ。
— 岡本かの子 『売春婦リゼット』 青空文庫
前が開て膝頭が少し出ていても合そうとも仕ない、見ると逆上せて顔を赤くして眼は涙に潤み、頻りに啜泣を為ている。
— 国木田独歩 『竹の木戸』 青空文庫
大きな硝子窓越しには遠くに雨雲のよどんだ夏の無月の空が、潤みを持つた紺碧の色に果てもなく擴がつてゐた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
元来、大事な預り物ゆえ、少しくらい嵩張ろうが、汁が浸潤み出ようが、そっくりそのまま大事に預って置く。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
銀子は咽喉に湿布をして、右の顎骨あたりの肉が、まだいくらか腫れているように見えたが、目にも潤みをもっていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
それは乙女の娘生のこころを玉に凝らしたかのよう、ぶよぶよ透けるが中にいささか青春の潤みに澱んでいる。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
電気ストーヴをつけて部屋を暖かくしながら、障子をもう一枚開け拡げて、月の出に色も潤みだしたらしい不忍の夜の春色でわたくしの傷心を引立たせようとした逸作も遂に匙を投げたかのように言った。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
作例 · 標準
例句