繁文
はんぶん
名詞
標準
文例 · 用例
此類の學者は能く自ら欺き、また能く人を欺けども、人ありてその繁文を削り、その要旨を尋ねむとするときは、或はその包めるところ何の思想をもなさゞることあり、或は極めて平凡なる意味となることあり、或はその筋違なる想像なるを見ることありといへり。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
かういふ方たちの生活や、あのさつぱり譯の分らぬ繁文褥禮や、宮中むきの作法などを、まのあたり覗いてみたいものだ。
— ZAPISKI SUMASHEDSHAWO 『狂人日記』 青空文庫
繁文縟礼を省こう、その費用をもっと有益な事に充てよう、なるべく人民の負担をも軽くしよう――それがこの改革の御趣意じゃありませんかね。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
もっと政治は明るくして新鮮な空気を注ぎ入れなければだめだとの多数の声に聞いて、京都の方へ返すべき慣例はどしどし廃される、幕府から任命していた皇居九門の警衛は撤去されるというふうに、多くの繁文縟礼が改められた時、幕府が大改革の眼目として惜しげもなく投げ出したのも参覲交代の旧い慣例だ。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
たといその制度の復活が幕府の頽勢を挽回する上からも、またこの深刻な不景気から江戸を救う上からも幕府の急務と考えられて来たにもせよ、繁文縟礼が旧のままであったら、そのために苦しむものは地方の人民であったからで。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
二百年間の繁文縟礼が驚くべき勢いで廃止され、上下共に競って西洋簡易の風に移り、重い役人でも単騎独歩で苦しくないとされるようになったのは、皆この慶喜の時代に始まる。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
いわゆる慶応の改革がそれで、二百年間の繁文縟礼が非常な勢いで廃止され、上下共に競って西洋簡易の風に移ったのも皆その結果であった。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫
「名なんかドウでも好い、なくても好い、猫に名なんか付けるのは人間の繁文縟礼で、猫は名を呼ばれたって決して喜ばない、」といっていた。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫