擦音
擦音
名詞
標準
文例 · 用例
囂々とひびいて摩擦音を轟かせ、地獄の大釜がたぎるような氷擦の熱霧をあげながら、日速四百十九メートルといわれる化物氷河の谷。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
声とともにかすかな擦音が弥生の耳へ伝わるのだった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
マダムは真白いベッドの中に落ち窪んだように寝、蒼白な額にはベットリと寝汗をかいて、荒い息吹が胸の中で激しい摩擦音をたてていた。
— ――肺病の唄―― 『※の囁き』 青空文庫
病室の方での忙しさうな醫員や看護婦の動作、白い服の擦音、それらは一々|病人の容態のたゞならぬ事を、隣室に傳へた。
— 若杉鳥子 『彼女こゝに眠る』 青空文庫
」「すべて言葉を使用する芸術に於て、言葉の質料、即ち騒音、擦音、※軋音などの支配力が大きくなれば、それだけ表親は貧弱になる。
— 岸田國士 『演劇論の一方向』 青空文庫
しかも、この発射に伴ふ瞬間の爆音が、弾丸の空気を裂く凄壮な擦音につながり、更に一団の白煙を残して目標真近にさく裂する明朗快活な爆音に終る三段の経過は、砲戦描写に欠くべからざる手法だと気がついた。
— 岸田國士 『空襲ドラマ』 青空文庫
はじけかえる金属の摩擦音と、気ぜわしいベルの音。
— 久生十蘭 『あなたも私も』 青空文庫
次の瞬間、金属の扉はほんの微かな摩擦音と共にゆっくりと開いていった。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『時間からの影』 青空文庫