開府
かいふ
名詞
標準
establishment of the shogunate
文例 · 用例
併しそれにしたところで、後で考えてみて、駿府あたりに開府するより、広濶な江戸に清新な気を以て幕府を開いた方が、家康にとってどれ位幸福だったか知れやしないと思う。
— 菊池寛 『小田原陣』 青空文庫
江戸開府以来の大火は、明暦の振袖火事と明和の行人坂火事で、相撲でいえば両横綱の格であるから、行人坂の名が江戸人の頭脳に深く刻み込まれたのも無理はなかった。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
「玄妙観の魏法師は故の開府の王真人のお弟子で、おまじないでは当今第一ということであるから、お前も早く行って頼むがよかろう」 その明くる朝、喬生はすぐに玄妙観へたずねてゆくと、法師はその顔をひと目みて驚いた様子でした。
— 剪燈新話 『中国怪奇小説集』 青空文庫
もとより褒めたのは、江戸開府以前の武藏野の原のつづきの、廣大な眺めを思つたのであつたらう。
— 長谷川時雨 『東京に生れて』 青空文庫
あの、もはや狹くなつてしまつた上野公園を、何かあるたびに、惜しげもなく巨木を伐り倒すのは――もはや幾本もなくなつてしまつたが―― 震災後の下町は、いつて見れば、新しい開府時代が來たのだ。
— 長谷川時雨 『東京に生れて』 青空文庫
江戸開府以來、諸國人が多く集まつたが、これらが尋常なキモツタマでないこと、その人たちのつくつた市井は、デモクラチツクなものであり、むさし野の空つ風は、それらの人を吹き晒しあげた。
— 長谷川時雨 『初かつを』 青空文庫
おなじ非御家人の中にも、右様の土豪は郷士として認められる様になつたが、江戸開府後まで、従前の生活に留つたもの或は、新しく扶持に離れた人たちは、豊臣繁栄の時代には、京大阪に、徳川の世盛りには江戸に流れこんで、新しい扶持にありつかうとした。
— 折口信夫 『江戸歌舞妓の外輪に沿うて』 青空文庫
「玄妙観の魏法師は故の開府の王真人の弟子で、おまじないでは当今第一と称せられているから、お前も早くいって頼むがよかろう」 その明くる朝、喬生はすぐに玄妙観へたずねてゆくと、法師はその顔をひと目みておどろいた。
— 牡丹燈記 『世界怪談名作集』 青空文庫