弗箱
弗箱
名詞
標準
文例 · 用例
そして都會の狹い露路裏に、稻荷の鳥居をくぐる藝者等は、彼等の弗箱である客や旦那等が、もつと足繁く通ふやうに乞うてるのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
工人を指導した陳独秀が、いまでは南京総司令の策略によって彼の首が無産者の弗箱に変わるのであった。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
忘其郡邑矣、とあるから何處のものとも知れぬが、案ずるに金丸商店仕入れの弗箱を背負つて、傲然と控へる人體。
— 泉鏡太郎 『畫の裡』 青空文庫
大金といったって、十円の蝦蟇口から一円出すのはその人に取って大金だが、千万円の弗箱から一万円出したって五万円出したって、比例をして見ればその人に取って実は大金ではない、些少の喜悦税、高慢税というべきものだ。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
大金と云つたつて、十円の蝦蟇口から一円出すのは其人に取つて大金だが、千万円の弗箱から一万円出したつて五万円出したつて、比例をして見れば其人に取つて実は大金では無い、些少の喜悦税、高慢税といふべきものだ。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
機密費用の大|弗箱だよ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
それから最後の大物が、現民友会の幹事長、兼、弗箱と呼ばれている釜松秀五郎、逓信次官、雲田融……と……まあザットこれ位にしておこう。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
本当だか嘘だかわからないけども、何しろブル・オヤジがまん丸く膨れて、赤い浮標のようにフラフラしているのに、片っ方の運転手は弗箱みたいに重々しくて真四角い恰好をしているから、見かけだけでも頑固らしい。
— 夢野久作 『ココナットの実』 青空文庫