棚雲
たなぐも
名詞
標準
shelf cloud
文例 · 用例
青白い棚雲の下に箒を倒立てたやうな枯木が懸つてゐて、それがつぎつぎに闇の底に倒れて行つた。
— 原民喜 『ある時刻』 青空文庫
夕ぐれの教室の窓から、下に見える枯木や、天の一方に吹寄せられてゐる棚雲に三日月が懸つてゐて、靄のなかに人懐げに灯が蠢いてゐる、さうした、何でもない眺めがふと彼を慰めた。
— 原民喜 『氷花』 青空文庫
西空の棚雲の紫に輝く上で、落日は俄かに轉き出した。
— 釋迢空 『死者の書』 青空文庫
山裾の勾配に建てられた堂・塔・伽藍は、更に奧深く、朱に、青に、金色に、光りの棚雲を、幾重にもつみ重ねて見えた。
— 釋迢空 『死者の書』 青空文庫
西空の棚雲の紫に輝く上で、落日は俄かに転き出した。
— ――初稿版―― 『死者の書』 青空文庫
山裾の勾配に建てられた堂・塔・伽藍は、更に奥深く、朱に、青に、金色に、光りの棚雲を、幾重にもつみ重ねて見えた。
— 折口信夫 『死者の書』 青空文庫
……月は白銀に輝く棚雲の上、異様に冴え渡って行く。
— 加藤道夫 『なよたけ』 青空文庫
空には、金色にふちどられた棚雲がひろがり、土堤の上へ片明りの強い光をなげているが、斜面のこちらはもう黄昏の冷たそうな、青ずんだ灰色のなかに沈んでいた。
— 山本周五郎 『青べか物語』 青空文庫