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謡本

うたいほん
名詞
1
標準
文例 · 用例
卓子を並べて、謡本少々と、扇子が並べてあったから、ほんの松の葉の寸志と見え、一樹が宝生雲の空色なのを譲りうけて、その一本を私に渡し、「いかが。
泉鏡花 木の子説法 青空文庫
謡本と首引きで、朱筆で点を打ったって、真似方も出来るもんか。
泉鏡花 卵塔場の天女 青空文庫
あの中が皆謡本さ、可恐い。
泉鏡花 卵塔場の天女 青空文庫
もっとも謡本を手にしないものも、稀である。
泉鏡花 卵塔場の天女 青空文庫
天路を聞けばなつかしや、千鳥|鴎の沖つ波、行くか帰るか、春風の―― そのあたりからは、見物の声が章句も聞こえて、中には目金の上へ謡本を突上げるのがあり、身動きして膝を敲くのがある。
泉鏡花 卵塔場の天女 青空文庫
床の前に謡本を置いていた一人の客が、その時父の方を向いてこう云った。
夏目漱石 行人 青空文庫
やがて客は謡本を風呂敷に包んで露に濡れた門を潜って出た。
夏目漱石 行人 青空文庫
そのうちに粟生氏が「箙」の切の或る一個所をかれこれ二三十遍も遣直させられたと思うと、老顔に浴びるように汗の滝を流しながら、精も気根も尽き果てた体で謡本の前に両手を突いて、「今日はこれ位で、どうぞ御勘弁を……」 と白旗を揚げた。
夢野久作 梅津只圓翁伝 青空文庫