顔型
かおがた
名詞
標準
文例 · 用例
青年の傍には、背の高い服装も化粧も万艦飾の若い女が坐つてゐました、青年と女とは顔型の上からも性格の上でも全く似たところがなかつたので、この二人が兄妹だとはそのとき思はなかつたのです。
— 小説 『小熊秀雄全集−15−』 青空文庫
そこにしまつてあるわたしの蓄音機は、朝顔型のラツパのついたものと、円筒型の蝋管レコードを用ふるものと二台もあつた。
— 牧野信一 『幽霊の出る宮殿』 青空文庫
)朝顔型に口の開いた焦茶色のでつぷりとした徳利を傾けてテルヨさんが両方の手の先で支へながら恭々しく酌をするのだが、口を利くことは勿論、顔を挙げることもかなはず黙々とした坊主の様に端坐してゐなければならないのである。
— 牧野信一 『天狗洞食客記』 青空文庫
ただ天井から下っている、珊瑚と鋼玉と爐眼石とで、要所要所を鏤められた、朝顔型のアレジヤ龕が、朝顔型に琥珀色の光を、床の上へ一ぱいに投げていた、それの光に照らされて、幾個かの異国的の食器の類が、各自の持っている色と形とを、いよいよ美しく見せて居るのが、いちじるしい特色ということが出来る。
— 国枝史郎 『血ぬられた懐刀』 青空文庫
ラウンジの広さは二百畳敷ぐらいで、天井の中央はドームになって居り、色彩絢爛の色硝子が、交互に張った装飾を持ち、その胴壁には七層朝顔型の、黄金色硝子の装飾電燈が、舞台へ光線を投げかけていました。
— 国枝史郎 『さまよう町のさまよう家のさまよう人々』 青空文庫
大きな銀色の朝顔型のラッパ、耳を澄ますと、スースー、スースーと云う針の音。
— 宮本百合子 『初めて蓄音器を聞いた時とすきなレコオド』 青空文庫
おまけに肩をすくめてお乳のあたりをだくようにしたり、その手をジリ/\と朝顔型にひらいてみたり、そのたびに、十人足らずで満員になる小さな店のことだから、コマクも頭もハレツしそうになり、金切声のふるえにつれて、背中からドリルで突き刺された思いになる。
— 坂口安吾 『ニューフェイス』 青空文庫
僕の胸へぎゅッと顔をおッつけて、なんといっても離れないんだからね……」 そのひとは、ひやかすように、キャラコさんの顔をのぞき込んでから、「この胸ンとこに、いまでも、君の顔型が残っているかも知れないよ」 このひとの深い心が、その時も、自分をうったのにちがいない。
— 雁来紅の家 『キャラコさん』 青空文庫