後ろ首
うしろくび
名詞
標準
文例 · 用例
よくお湯を流して、滑に温められた流し場の板敷の上へ行儀よく坐って、後ろ首に白粉をのばす婆やの手の重みに少し前かがみになると、かやの眼の前には向き合って居る婆やの細長く垂れた、二つの乳房がふらふらとゆれて居た。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
いいおりを見つけて、わたしから上手にいって聞かせるまでは知らんふりをしてね……よくって……あなたはうっかりするとあけすけに物をいったりなさるから……今度だけは用心してちょうだい」「ばかだなどうせ知れる事を」「でもそれはいけません……ぜひ」 葉子は後ろから背延びをしてそっと倉地の後ろ首を吸った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
背に乗り、後ろ首の一ヶ所に食ひついてゐる。
— 坂口安吾 『孤独閑談』 青空文庫
「此處を搜して見たか、八」「一と通りは見ましたが、清次郎の死骸の後ろ首に打ち身を拵へたしろものでせう」「いや、そんな事ぢやない、此ドブ板の破れたところに、妙なものが落ちて居るんだ」「おや、手紙ですね」 八五郎はドブ板を剥がすと、手を突つこんで、その中から何やら取出しました。
— 美男番附 『錢形平次捕物控』 青空文庫
右寄の喉笛、今日の知識で言へば、見事に頸動脈を貫いた刄物は、やゝ細くて鋭利で、後ろ首まで切つ尖が拔けて居るのは、恐ろしい力で打ち込んだもので、決して女の自害ではありません。
— 密室 『錢形平次捕物控』 青空文庫
鬼三郎は中風でそれをハネ返す力もなかつたことだらう」「――」「その上、絞めた細紐を後ろ首で結んであつたといふのは、何よりの證據ぢやないか。
— 系圖の刺青 『錢形平次捕物控』 青空文庫
右寄の喉笛、今日の知識でいえば、見事に頸動脈をつらぬいた刃物は、やや細くて鋭利で、後ろ首まで切っ尖が抜けているのは、恐ろしい力で打ち込んだもので、決して女の自害ではありません。
— 密室 『銭形平次捕物控』 青空文庫