泣き騒ぐ
なきさわぐ
動詞
標準
文例 · 用例
近くあからさまな男女の話し声や子どもの泣き騒ぐ声、のこぎりの音まき割る音など、すべてがいかにもまた、まのろくおぼろかな色をおんで聞こえる。
— 伊藤左千夫 『告げ人』 青空文庫
三吉は半ば串談のように、「お雪は姉さんをコワがっていますよ」「そんなことがあらすか」とお種は階梯を下りかけたお雪の方を見て、「ねえ、お雪さん、貴方とは信州以来の御馴染ですものネ」 お種の神経質らしい笑声を聞いて、お雪は泣き騒ぐ子供の方へ下りて行った。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
たゞ怒りだけがのこつて、燃えて、それも何かしらあたりの泣き騒ぐ音とごつちやになつてしまつた。
— 田畑修一郎 『医師高間房一氏』 青空文庫
染や、何とかしておくれ、重三、重三――と、時々はむずかりなさいますが、どんなお化けが出るのやら、一向見当が付きません」 お染はこう言いながらも、幼い富太郎が、目に見えぬあやかしに悩まされて、夜とともに怯えて泣き騒ぐ怖ろしさを思い出したものか、肥っちょ肩を縮めて、ゾッと身を顫わせました。
— 怪伝白い鼠 『銭形平次捕物控』 青空文庫
十二月八日(日曜) 朝八時すぎ、清ビー/″\泣き騒ぐので目がさめてしまふ。
— 昭和十五年 『古川ロッパ昭和日記』 青空文庫
* 夕暮よりも薄暗い入梅の午後|牛天神の森蔭に紫陽花の咲出る頃、または旅烏の啼き騒ぐ秋の夕方|沢蔵稲荷の大榎の止む間もなく落葉する頃、私は散歩の杖を伝通院の門外なる大黒天の階に休めさせる。
— 永井荷風 『伝通院』 青空文庫
鳥肉が食いたくなると、坊主は餌で釣って、堂内に雁をおびき入れ、急に戸を閉めて、羽バタキ荒々と啼き騒ぐ中で、これを何十羽となく叩き殺す。
— 婆娑羅帖 『私本太平記』 青空文庫
・泣いてはなさない蝉が鳴きさわぐ・何やら鳴いて今日が暮れる・水瓜ごろりと垣の中・虫のゆききのしみじみ生きてゐる □・朝の木にのぼつてゐる 七月廿三日土用らしい土用日和である、暑いことは暑いけれど、そこにわだかまりがないので気持がよい。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫