喚き散らす
わめきちらす
動詞
標準
文例 · 用例
」 笠井氏は既に泥酔に近く、あたりかまわず大声を張りあげて喚き散らすので、他の酔客たちも興が覚めた顔つきで、頬杖なんかつきながら、ぼんやり笠井氏の蛮声に耳を傾けていました。
— 太宰治 『女類』 青空文庫
白状させて了ふのはこはいが、やけになつて追及すると、そんな下らないこと云ふんなら、これから岸田さんとこ行つてあかしを立てて貰はう、そして、もうあんな店はやめて了ふ、と夜中にも係らず喚き散らすので手に負へないのです。
— 武田麟太郎 『現代詩』 青空文庫
それが体さえ弱いために電気の役に廻っていることだけでも二重三重心苦しいのに、組合員まで現われて来て喚き散らすからである。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫
自暴的な自殺的な言葉を吐くのが、彼のよくない病癖だったが、それを喚き散らすと、いつの場合も反射的に天来の霊感が浮んでくるのであった。
— 海野十三 『流線間諜』 青空文庫
ビュビュ・ドゥ・モンパルナッスより ――売笑婦になじみもあったがね、彼女等が愉快そうにして居るのは、それ、子供が怖ろしさをかくすために喚き散らすだろう、あれと同じなのだよ。
— 宮本百合子 『一九二五年より一九二七年一月まで』 青空文庫
そこでたちまち口喧嘩がはじまって、士官は威丈だかに喚き散らす、小商人は口汚なく罵り立てる、例の婦人はただもうはらはらして生きた色もない、という騷ぎになった。
— ドストエーフスキイ 『永遠の夫』 青空文庫
私は長い一時間を出鱈目な文法を喚き散らすベルナアルさんの口元をぼんやりと眺めたまま過してしまうのだった。
— 久生十蘭 『葡萄蔓の束』 青空文庫
菊乃さんは音もなく影のように静かに自ら永遠に去ったけれども、ガラッ八の私は喚きちらすように、叫びたいよ。
— その六 暗い哉 東洋よ 『安吾人生案内』 青空文庫