有形物
ゆうけいぶつ
名詞
標準
文例 · 用例
有形物について云う事は無論であるが無形物についてもよく使う字である。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫
head を具体的と解する以上は lies も無論有形物の lie する有様に相違ない。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫
さて本元の支那人が十二禽から十二支を別に立てたのはよいが、十干の本たる木火土金水の五行をそのまま木火土金水と有形物の名で押し通したから、火は木を焼いて水に消さるなどと相生相尅の説盛んに、後世雑多の迷信を生じた。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
飲食衣服は有形の物にして誰れの手を以て与うるも同様なるに似たれども、其これを与うるの間に母徳無形の感化力は有形物に優ること百千倍なるを忘る可らず。
— 福沢諭吉 『新女大学』 青空文庫
「見るは月影」と有形物をもって結びたるはなかなかに賤しく厭わし。
— 正岡子規 『曙覧の歌』 青空文庫
しかれども上に掲げたる句には、月と他の有形物とを配合したる者多きを以て、なほ多少の変化あるが如く感ぜらるべし。
— 正岡子規 『古池の句の弁』 青空文庫
しかし権利侵害があった以上必ず損害があったものとみなして、それを一銭という有形物の上に象徴するところがこの制度の妙味であって、「嘘」の効用のいちじるしい実例の一つです。
— 末弘厳太郎 『嘘の効用』 青空文庫
また有形物のほうでは実際にない物に名をつける気遣いはないが、無形の議論においては、ない物を想像して、これに名をつけることがしばしばあり、しかも、いったん名がつけられるとその物があるかのごとき心持ちになる。
— 丘浅次郎 『我らの哲学』 青空文庫