行き掛け
いきかけ
名詞
標準
文例 · 用例
おつぎはむつくり起きてさつさと行き掛けた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
「まあ野々宮さんの所へ行つて、御談義を聞いて来い」と云ひ棄てゝ、相手は池の方へ行き掛けた。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
それですぐに逃げればいいものを、自分の座敷へ荷物を取りに引っ返して来ると、主人が丁度いなかったもんですから、急にまた慾心を起して、行き掛けの駄賃に主人の胴巻まで引っさらって行こうとしたのが運の尽きで、とうとうこんなことになってしまったんです。
— 山祝いの夜 『半七捕物帳』 青空文庫
」こう云って、階段から立って部屋の方へ行き掛けた。
— シュニッツレル Arthur Schnitzler 『みれん』 青空文庫
耕二はそれは言はれるとスツト立つて襖の方に行きかけた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
男立つて行きかける)女 (ヒドク)あたしが行く、あたしが。
— 中原中也 『夢』 青空文庫
私は見舞客たちに見られないように、台所のほうから、こっそりはいって、離れの病室へ行きかけて、ふと「常居」の隣りの「小間」をのぞいて、そこに次兄がひとり坐っているのを見つけ、こわいものに引きずられるように、するすると傍へ行って坐った。
— 太宰治 『故郷』 青空文庫
」 夫人がした通りに、茶棚の傍の襖口へ行きかけた主税は、(菅女部屋)の中を、トぐるりと廻って、苦笑をしながら縁へ出ると、これは!
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫