表布
おもてぬの
名詞
標準
文例 · 用例
横綴の茶の表布の少しは汗に汚ごれた角を、折るようにあけて、二三枚めくると、一|頁の三が一ほど白い所が出て来た。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
搗き立ての伸し餅を、金巾に包んだように、綿は綿でかたまって、表布とはまるで縁故がないほどの、こちこちしたものである。
— 夏目漱石 『坑夫』 青空文庫
彼等の主ダニーロは、じつと物思ひに沈み、その緋色のジュパーンの袖が独木舟の縁から下へ垂れて水をしやくつてをり、また彼等の女主人カテリーナは静かにわが児を揺ぶりながら、良人の顔からじつと眼を放さずにゐるが、彼女の、表布をきせぬ粋な羅紗服には灰色の塵のやうに水玉が跳ねかかつてゐる。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫