面紗
おもぎぬ
名詞
標準
文例 · 用例
即ち、この明智は芸術家芥川氏の武器であり、甲冑であり、時には自分を鮮に韜晦させる面紗である。
— ――全人間的な体現を――(その一、芥川龍之介氏) 『現代作家に対する批判と要求』 青空文庫
処で、芥川氏の明智が人生に対して、芸術に対して如何に働いてゐるかはこれまでに云つた通りであるが、それが氏自らに対して働く時、それは積極的には氏の武器となり、消極的には氏の甲冑となり、面紗となつてゐる。
— ――全人間的な体現を――(その一、芥川龍之介氏) 『現代作家に対する批判と要求』 青空文庫
」「樋口一葉、若松|賤子――小金井きみ子は、宝玉入の面紗でね、洋装で素敵な写真よ、その写真が並んだ中に、たしか、あの顔、あの姿が半身で出ていたんだ。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
と、白い冬の面紗を破って近くの邸からは鶴の啼き声が起こった。
— 梶井基次郎 『冬の日』 青空文庫
「たくさんの虫が、一匹の死にかけている虫の周囲に集まって、悲しんだり泣いたりしている」と友人に書いたような、彼女の死の前後の苦しい経験がやっと薄い面紗のあちらに感ぜられるようになったのもこの土地へ来てからであった。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
彼等の武器に使うものは現代の婦人の使う面紗に似て居り、または天平の婦人のヒレに似て居る一種の長絹である。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
今いる部屋の戸が開け放たれると、喪服に黒い面紗という装いの女性が室内に入ってきた。
— THE MAN WITH THE TWISTED LIP 『唇のねじれた男』 青空文庫
」と妻はその女性の面紗をめくって、「ケイト・ホイットニじゃないの、驚いた。
— THE MAN WITH THE TWISTED LIP 『唇のねじれた男』 青空文庫