志力
しりょく
名詞
標準
文例 · 用例
しかし人間の脳力には限度がありまして、嫉妬とか邪推とかの方面にばかり鋭くはなりますが他の方面は無力になり、意志力なども弱くなって、前後の見境いなく騒ぎ出したり、急に陽気になって笑い出したり、先刻までひどく嫌っていた人を急に好きになったりします。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
大陸序曲跳躍跳躍する跳躍する奔牛は是れ、厳たる意志力、陀々羅踏む肉塊の黒旋風、響き搏つ角、響き搏つ角、角は見よ、蒼き兜の大前立。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
非常な苦痛を持っていながら、強い意志力で抑え付け、わざと愉快そうに振る舞っている。
— 国枝史郎 『神秘昆虫館』 青空文庫
頬の蒼白さは腺病質らしいが、高く張ってる額は知性と意志力とを示すようだ。
— 豊島与志雄 『自由人』 青空文庫
が、その凄絶なる可き慟哭にも、同じく涙に咽ばうとしてゐた乙州は、その中にある一種の誇張に対して、――と云ふのが穏でないならば、慟哭を抑制すべき意志力の欠乏に対して、多少不快を感じずにはゐられなかつた。
— 芥川龍之介 『枯野抄』 青空文庫
理論に於ては併し、論理はなおその自主的自発力を随所に顕示する、情意に於ては論理はそのものとしては顕現しないで、他ならぬ感情の必然性として、又意志力として、みずからを変装しつつ現わすのである。
— 戸坂潤 『認識論とは何か』 青空文庫
さてこういう感情の必然性や意志力、それから、之によって浸透された思考一般は、その骨格を洗い出せば、広義に於ける論理=ロジックと呼んでもいいものであるが、そのためには心理=サイコロジーというもっと穏当な言葉があるわけだ。
— 戸坂潤 『認識論とは何か』 青空文庫
僕は然し、それを克服するだけの意志力を持たなければならないということを信じており、必ず闘い勝つ、勝たねばならぬ、とも信じているのである。
— 坂口安吾 『精神病覚え書』 青空文庫