赤瓦
あかがわら
名詞
標準
文例 · 用例
しかし私の趣味としては、もつと空氣の明るく近代的で、工場や、煙突やが林立し、一方に生産的市場が活動しつつ、一方に赤瓦の洋風家屋などの散見する情趣、即ち大都會の郊外にみる近代的生活の空氣がすきなのだ。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
いじらしいくらいに、それに憧れていながら、君たちに出来るのは、赤瓦の屋根の文化生活くらいのものだろう。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
両国を立って、しばらくは、線路の両側にただ工場、また工場、かと思えばその間に貧しい小さい家が、油虫のように無数にかたまって建っている、と思うと、ぱらりと開けてわずかな緑地が見えてサラリイマンの住宅らしい赤瓦の小さな屋根が、ちらりほらり見える。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
松林の中に屋根だけ文化式の赤瓦の小さな家の群があった。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
鉄道線路脇のちょっとした雑木林の陰に草を折り敷いて、向うの丘陵に二軒つづいた赤瓦屋根を入れたスケッチを始めた。
— 寺田寅彦 『断片(1)』 青空文庫
至るところの新緑と赤瓦の家がいかにも美しい。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
新緑のあざやかな中に赤瓦白壁の別荘らしい建物が排置よく入り交じっている。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
ドイツでは行っても行っても洪積期の砂地のゆるやかな波の上にばらまいた赤瓦の小集落と、キーファー松や白樺の森といったような景色が多い。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫