擬装
ぎそう
名詞
標準
文例 · 用例
世の中から変人とか奇人などといわれている人間は、案外気の弱い度胸のない、そういう人が自分を護るための擬装をしているのが多いのではないかと思われます。
— 太宰治 『わが半生を語る』 青空文庫
しかし、かの女はすっかり青年の擬装の態度に欺かれて、人事のようにすましてただ立ち止っていた。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
そしてそれは擬装した愛なのだ。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
博士との関係をずっと持ち続けるには、かえって遠ざかっている方が、とかく名誉に傷つきやすい博士のために有利だと考え、擬装のためわざと庸三を利用しているように思われないこともなかった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
二十 露骨な争いと、擬装の和解との息詰まるような一夜が明けた。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
二十二 世間的にも私生活的にももはや収拾のつかなくなった二人の立場を、擬装的にでも落ち着かせようとして、二人のあいだに結婚|談の持ちあがったのもまたそのころのことであった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
庸三がわざと擬装しているとでも思ったらしく、葉子は外へ出てからも、ここで別れる彼を哀れむように自身もいつか自身の言葉に感傷を誘われたふうで話しつづけた。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
庸三はそれを希わないだけに、わざとしばしば擬装的な示唆を与えてみたのだった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫