居溢れる
いこぼれる
動詞
標準
文例 · 用例
一人の女と一人の女形、その美しい円味、匂いこぼれるような媚めかしさ、悩ましさはともかくとして、おりふし「青楼十二時」でもひもどいて、辰の刻の画面に打衝かると、ハタと彼は、その折帖を伏せてしまうのだった。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
匂いこぼれるような青い挽茶の粉は茶碗に移された。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
「ほんとに、とんでもないことをお願いして、もう来てくださらないかと案じておりましたが、でもお顔を見ただけでどうやら安心しました」 においこぼれる口もとの笑みを前垂れで受けながら、こういって栄三郎を見上げた澄んだ瞳には、若いたましいを嬌殺しないではおかないものがあった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
女性というものは、ふしぎなもので、早く死んでくれればいいと願っていたお爺さんでも、とうとう今あの世へ出発するのかと思うと、不意と心底から、泪の一つぐらいこぼれるようにできているんです。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
」 チラと膝先をみだして、擦りよるお蓮様のからだから、においこぼれる年増女の香が、むっとばかり源三郎の鼻をくすぐります。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
驚愕のあまり、うしろざまに片手をついた拍子に、派手な寝間着の膝がわれて匂いこぼれる赤いもの。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
何で子どもなどと」 老母は笑いこぼれる。
— 第九分冊 『新書太閤記』 青空文庫