近代文明
きんだいぶんめい
名詞
標準
modern civilization
文例 · 用例
彼の神経は、近代文明の病癖を受けて針のやうに過敏であり、その感覚は驚くべく洗練された者であるにも関らず、彼の精神は全く子供のやうな単純さと、野蛮人のやうな生生した原始的の驚きに充たされて居る。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
そこには近代文明の不幸な疾病が憧憬する所の、あの美しく明るい健康の哲学がある。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
それから最後の結論として、皆が一緒に歎息したことは、昔の馬グソ臭い新宿情趣が、近代文明の爲に次第に廢滅して行くといふことだつた。
— 萩原朔太郎 『悲しい新宿』 青空文庫
反対にそうした蛮地に住んでいる土人は、近代文明の不思議な機械や、魔術のような大都会や、玻璃宮の窓に映る不夜城の美観を眺めて、この上もなく詩的なものに思うであろう。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
そして近代文明のいかなる女性化主義とデモクラシイも、これ等の「変装した貴族主義者」を殺し得ない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
私の知っている仙台時代の周さんは、近代文明を病んで苦しみ、その病床を求めて、教会の扉さえ叩いたのだ。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
産業時代と謂はるゝ歐洲の近代文明は、既に隨處に農業の不振、農村の疲弊を馴馳した。
— 石川啄木 『農村の中等階級』 青空文庫
そんなら、この処に一人の男(仮令ば詩を作る事を仕事にしている)があって、自分の神経作用が従来の人々よりも一層鋭敏になっている事に気が付き、そして又、それが近代の人間の一つの特質である事を知り、自分もそれらの人々と共に近代文明に醸されたところの不健康(には違いない)な状態にあるものだと認めたとする。
— 石川啄木 『性急な思想』 青空文庫