背の君
せのきみ
表現名詞
標準
one's husband
文例 · 用例
親の手から背の君へ!
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫
私がさように嫌う蜘蛛でさえ手にまるめ込んで愛撫するかの如く爪くる人もあるからおかしい、もし蜘蛛の男女が恋をしたとしたらやはり野の花よとか、美しい背の君よとか考えることだろうと思って私は面白い自然のからくりに感心しているのである。
— 小出楢重 『楢重雑筆』 青空文庫
丹羽夫人に伊弉諾と伊弉冉の神、導きて、うら若草の、妹と背の君の入るてふ、甲子園、ホテルの宵を、遥かにも思ひやりつつ、浮びくる唐の詩人の宮詞など、口に載せつつ、幸ひの身にも及ぶと云ふ如く、我れ楽みき。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集拾遺』 青空文庫
「ながらふるつま吹く風の寒き夜にわが背の君はひとりか寝らむ」(巻一・五九)も選出したのであったが、歌数の制限のために、此処に附記するにとどめた。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
「涙ぐましも」という句は、万葉には此一首のみであるが、古事記(日本紀)仁徳巻に、「やましろの筒城の宮にもの申すあが背の君は(吾兄を見れば)泪ぐましも」の一首がある。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
母后についで背の君を喪った多至波奈姫が、太子生前の教を思い、推古天皇の御ゆるしを得て、太子の御霊の赴くであろうパラダイスを悲しみつつ描いたのである。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
嘗つて背の君とともに心をつくして建立された東大寺を、また今は廃墟となった平城京を遥かに望見しながら、天平の花華とも仰がるる光明皇后は、佐保山の紅葉のもとに何を夢みておらるるだろうか。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
寧楽の都に雪のふりしきる日、高殿に在って背の君と肩をならべ、その雪を眺めていたならばどんなに嬉しいことであろうと、何らの技巧粉飾を用いず歌われているのである。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
作例 · 標準
「背の君の帰りをお待ちしております」と、彼女は三つ指を立てて挨拶した。
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戦地へ向かう背の君の無事を、彼女は毎日神社で祈り続けた。
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古い物語の中では、妻が夫のことを「背の君」と呼ぶ場面がよく見られる。
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