握り潰し
にぎりつぶし
名詞
標準
文例 · 用例
栄之丞は少し迷惑したが、その手紙を握り潰してしまうのも妹に対してなんだか義理が悪いように思われるので、さらに二、三日経ってから吉原へ届けに行った。
— 岡本綺堂 『籠釣瓶』 青空文庫
ですから反対党の人達は大喜びで、そんな受取証を握り潰しておいて、父がそんなものを賄賂に貰ったように検事局に投書したらしゅう御座いますの。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
……ですから万一閣下がその電文を握り潰してお終いになるような事がありますれば私は大和民族の一員として、到底黙って見ている訳に参りませんから、個人として新聞に……」「黙り給え……」 と総監は低い、押え付けた声で云った。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
それにつれてK大や白鷹家の事に就いても、どんな出鱈目を臼杵先生に信じさせているか解らない……という心配から、夫人が内々で妻の松子に宛てて、臼杵病院の所づけで度々、ユリ子の行状に関するさり気ない問合わせの手紙を出したそうであるが、それは多分、彼女が握り潰したものであろう、一度も返事が来なかった。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
その女学校の寄宿舎に来る手紙を、学校によっては舎監が一先ず受け取って、怪しいと思われるのは、秘密に開封した上で渡したり、又は握り潰しているところがある。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫
四月から半年以上も行衛不明で、東京の銀行の方を調べて貰うと、銀行の女事務員が今まで握り潰していたということが判明した。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
現に預金帳の握り潰しで半年以上も苦しめられた直後である。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
持って居る証拠を握り潰します、ハイ是は最う男子の一言で断言します、是でお分りに成りましたか」アア彼の言葉は全く嫉妬に狂する鬼の言葉だ。
— 黒岩涙香 『幽霊塔』 青空文庫