醇風
じゅんぷう
名詞
標準
文例 · 用例
その時分、公の席では町の有力者の一人として間接に見かけたことも度々ある山口は、ゆっくりと内ポケットから名刺ばさみをとりだし、狭谷町青年学校主事、狭谷町醇風会理事、その他二つ三つ肩書を刷りこんだ名刺を瀧子に渡した。
— 宮本百合子 『鏡の中の月』 青空文庫
現に日本の支配者は民衆に家族主義という醇風美俗を、日本的なものとして押しつける。
— 戸坂潤 『日本の民衆と「日本的なるもの」』 青空文庫
* 醇風美俗といふ言葉がある。
— ――宛名のない手紙―― 『日本人とは?』 青空文庫
これまでのやうに、警察が醇風美俗に反するといふ裁定を下すなどといふことは、これこそ醇風美俗に反するやうに私は思ふ。
— ――宛名のない手紙―― 『日本人とは?』 青空文庫
* 世の中が醇風美俗ばかりになることはちよつと淋しいやうな気がする。
— ――宛名のない手紙―― 『日本人とは?』 青空文庫
しかし、醇風美俗を誤りなくそれと感じる感覚だけは、人間の人間らしさとして飽くまでも尊重したい。
— ――宛名のない手紙―― 『日本人とは?』 青空文庫
しかしかかる方法によってこの困難を除去するのは、多数の意見からすれば、確かに、人間の平等と可完全化性の擁護者がその見解の目的であり対象であるとする徳性と醇風とを破壊するゆえんであろう(訳註)。
— AN ESSAY ON THE PRINCIPLE OF POPULATION 『人口論』 青空文庫
ただ、常識、いわゆる醇風良俗なるものは真理でもなく正義でもないということで、醇風良俗によって悪徳とせられること必ずしも悪徳ではなく、醇風良俗によって罰せられるよりも、自我みずからによって罰せられることを怖るべきだ、ということだけはいい得るだろう。
— 坂口安吾 『恋愛論』 青空文庫