揺上
揺上
名詞
標準
文例 · 用例
」 紳士の身体は靴を刻んで、揺上がるようだったが、ト松崎が留めたにもかかわらず、かッと握拳で耳を圧えて、横なぐれに倒れそうになって、たちまち射るがごとく町を飛んだ。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
大波に漂う小舟は、宙天に揺上らるる時は、ただ波ばかり、白き黒き雲の一片をも見ず、奈落に揉落さるる時は、海底の巌の根なる藻の、紅き碧きをさえ見ると言います。
— 泉鏡花 『雪霊続記』 青空文庫
』と高笑ひをして、其処で肩の上に揺上げた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
雪枝はハツと身を伏せて、巌に吸込まれるかと呼吸を詰めたが、胸の動悸が、持上げ揺上げ、山谷尽く震ふを覚えた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
蜩がそれに競わんとするごとく、また頻に鳴き出す――足許の深い谷から、その銀の鈴を揺上げると、峠から黄金の鐸を振下ろして、どこで結ばるともなく、ちりりりと行交うあたりは、目に見えぬ木の葉が舞い、霧が降る。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
颯と寄る浪がしら、雪なす獅子の毛の如く、別荘の二階を包んで、真蒼に光る、と見る、とこの小舟は揺上って、松の梢に、ゆらりと乗るや、尾張を越して富士山が向うに見えて、六蔵|素天辺に仰天した。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
そのものが彼に宿る時、彼は、ブランコで大きく揺上げられる子供の様に、恍惚として其の勢に身を任せるほかはない。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
」 宮はシォールを揺上げて鼻の半まで掩隠しつ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫