炙肉
炙肉
名詞
標準
文例 · 用例
先日博士は生来の健啖に任せて羊の炙肉をほとんど一頭分も平らげたが、その後当分、生きた羊の顔を見るのも厭になったことがある。
— 中島敦 『文字禍』 青空文庫
それは若い牝だったが、至って心やすい番人よりその大好物なる米と炙肉汁の混ぜ物を受け徐かに吸いおわり、右手指でその入れ物ブリキ缶の底に残った米を拾い食うた後、その缶を持って遊ぼうとするを番人たって戻せと命じた。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
飲んでから羊の炙肉の方を見て欲しそうに眼を放さない。
— 田中貢太郎 『賭博の負債』 青空文庫
一面で、社会生活がヨーロッパでは亢進してやかましくて、ぬけ目なくて、しきたりで、大きい声でものを云うと失礼で、ウーとなってしまうから、太古ながらの樫の木が生えて、鹿がいて、むかし祖先たちが、裸で炙肉の骨をつかんでケンカした風物がなつかしいのね。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
その夜は、本場の羊料理、かの豪快な炙肉の立ち食ひを試みた。
— 岸田國士 『北支物情』 青空文庫
コン吉とタヌは、王様にしかられた大膳職のように懼れ畏んでスウプの皿を引きさげ、今度は青豌豆のそえ物を付けた、犢の炙肉の皿を差し出したが、これもまた、「これは、車前草の擂菜でない!
— 八人の小悪魔 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
喜びといっては、ソースがいいとか炙肉がよく焼けてるなどと、事もなげに言われる時だけである。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
クルティルスが※の炙肉を考え出したように、グリモン・ド・ラ・レーニエールは油でいためたロースト・ビーフを考えついた。
— LES MISERABLES 『レ・ミゼラブル』 青空文庫