椿事
ちんじ
名詞
標準
文例 · 用例
わが屋の飼い鶏が客に対して、思いもよらない椿事を仕いだしたので、店の者共も蒼くなった。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
お節の身投げも意外の椿事に相違なかったが、鍋久の家内には更におそろしい椿事が出来していた。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫
それを逃がした鷹匠は命にかかわる椿事で、かれは切腹でもしなければならない。
— 鷹のゆくえ 『半七捕物帳』 青空文庫
その厄介きわまる御鷹匠三人が品川の丸屋に泊り込んだ夜に、一つの椿事が出来した。
— 鷹のゆくえ 『半七捕物帳』 青空文庫
人間の腕が往来に落ちていたというのは、勿論一つの椿事|出来に相違ないが、それが彼の羅生門横町であるだけに、一層ここらの人々を騒がせた。
— 唐人飴 『半七捕物帳』 青空文庫
しかもその夜のうちに、眼と鼻のあいだで、又もや一つの椿事が出来したと云うのである。
— 唐人飴 『半七捕物帳』 青空文庫
大佐の心では、吾等兩人が意外の椿事の爲めに、此樣な孤島へ漂着して、之から或年月の間、飛ぶに羽なき籠の鳥、空しく故國の空をば眺めて暮すやうな運命になつたのをば、寧ろ不憫と思つて居るのであらう。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
ところがある日その神聖な規律を根底から破棄するような椿事の起こったのを偶然な機会で目撃することができた。
— 寺田寅彦 『あひると猿』 青空文庫