山独活
やまうど
名詞
標準
文例 · 用例
「赤城の山独活の漬です。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
立った序にとて、弟は茶を淹れかえ、今度は自分で新しく桶から出した山独活を鉢で勧めまして、なおも話の続きから私たちを逃すまじき粘りを見せています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
鼻から脳髄に香いは突き刺して、その爽かさは眼を見開かすほども強い山独活の漬ものでした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
山独活の匂いも、伏籠の中の雛子の声も慣れてしまうと却って静けさを取持つ繰返しのタクトだけのものになってしまって、太古からの平凡と倦怠とも覚ぼしきものが、批判の心を怠けさしてしまいます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
私はこの宿へ二十年も馴染なのです」 葛岡はと言うと、私たちがこの宿へ入って来てから先生がわたくしにかまけ切ってばかりいるのを見て、結局その方が気楽とでもいうように勝手に褞袍に着換えたり、宿のおかみさんが持出した安ビスケットや山独活の漬ものを撮んだり、コヽアを飲んだり、一人で自分の身を犒っています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
薪のように山独活をつけ、その上に石楠花の花をさした馬を曳いた山人が里へ売りに下るのを見かけました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
とても明るい山独活だ、雌蕋の花粉は唸つてる。
— 北原白秋 『海豹と雲』 青空文庫
豊原から此処までの二駅の間は、たも、ばっこ楊、落葉松の疎林に紅紫の楊蘭や薄黄の山独活、ななつば、蝦夷蘭の花がまだ野生のままに咲き乱れて、ただ処々に伐採跡の木の根っ株が顕れていた。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫