押し被せる
おしかぶせる
動詞
標準
文例 · 用例
してみると権力と金力とは自分の個性を貧乏人より余計に、他人の上に押し被せるとか、または他人をその方面に誘き寄せるとかいう点において、大変|便宜な道具だと云わなければなりません。
— 夏目漱石 『私の個人主義』 青空文庫
そのうちに大勢の足音やガヤガヤいう人声が近く頭上から押し被せるように聞えて来た。
— 木暮理太郎 『黒部川奥の山旅』 青空文庫
はようお返しなされてくださりませ」「なに」 まったくの不意打ちでしたから、いたく右門もめんくらいましたが、しかし少年はおしかぶせるようにいいつづけました。
— 曲芸三人娘 『右門捕物帖』 青空文庫
こうして伺っていますと、なにか房枝さんの身の上に」「いえ、奥様」と、房枝は、おしかぶせるようにいって、「なんでもないのでございます。
— 海野十三 『爆薬の花籠』 青空文庫
「ほんとのところぼくは、あいつの自殺は、あいつがあいつなりに、自分のスジを通したんだというようにしか思ってはいないよ」「そこさ」いいかける佐藤に、進はおしかぶせるようにつづけた。
— 山川方夫 『演技の果て』 青空文庫
」 ぎょっと図星を指されでもしたかのように口を噤んだ千之介の影へ門七が、押しかぶせるように嘲笑をあびせかけ乍ら言った。
— 佐々木味津三 『十万石の怪談』 青空文庫
「これはこれはよく来て下さいました」 すると三田村技手が、押しかぶせるように、「故障で、無電がきかないんです。
— 大阪圭吉 『灯台鬼』 青空文庫
大きな眼にうっすら涙を浮べて、口を開き暫く呆然としていた彼は、やがてちょっと目を瞑るとほとんど聞きとれないほどのつぶやきで、「……俺ら……俺らすんだら……」と、云うや否や押しかぶせるように、「何?
— 宮本百合子 『禰宜様宮田』 青空文庫