羂索
けんさく
名詞
標準
文例 · 用例
チルダースの『呪法僧』の中に、不空羂索神変真言経の解釈が載っているが、それによると、は、火壇に火天を招く金剛火だ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
〔欄外に〕 ○わらびもち ○黒牛と赤紐 ○猿沢の池を見下す柳茶屋五月十二日(火曜) 東大寺、龍松寺、筒井氏に案内されて三月堂、不空羂索を見る、その調和の破れて居る点についていろいろ研究。
— 一九二五年(大正十四年) 『日記』 青空文庫
しかしながら、右手に鋭剣をとり、左手に羂索を執り、宝盤山の上に安坐して、叱咤暗鳴を現じて、怖三界の相を作すという威相は、その煤けた古色の間から燦然と現われているところを見れば、またかなりの名画と見なければなりません。
— 小名路の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
殿を出でゝ再たび三月堂に上れば、梵天帝釋の温雅整肅にまします、裏手なる執金剛神の怒氣すさまじき、共に寧樂美術の粹とこそ聞け、乾漆の四天王、本尊は不空羂索の觀世音、共に天平のものなりとぞ、建築も當時のまゝなるは、東大寺境内にて正倉院を舍きては、この堂に留めたり。
— 内藤湖南 『寧樂』 青空文庫
三月堂の不空羂索なども、大らかな堂々とした所があって、お頭も案外写生だけれども美しい。
— 高村光太郎 『回想録』 青空文庫
天平盛期となるとまず東大寺三月堂の乾漆の巨像|不空羂索観音があり、雄偉深遠で、しかも写実の真義を極めている。
— 高村光太郎 『美の日本的源泉』 青空文庫
奈良ノ三月堂ノ不空羂索観世音菩薩ノ足ヲ見ルト、予ハイツモ母ノ足ヲ思イ出ス。
— 谷崎潤一郎 『瘋癲老人日記』 青空文庫
三月堂の外観は以前から奈良で最も好きなものの一つであったが、しかし本尊の不空羂索観音をさほどいいものとは思っていなかった。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫