書損
しょそん
名詞
標準
文例 · 用例
京水が「按此年善郷年十五なり、未郷里を離ざるの前にあり、恐くは年号書損あるべし」と註した。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
」かう云ひながら宇津木はゆつくり起きて、机に靠れたが、宿墨に筆を浸して、有り合せた美濃紙二枚に、一字の書損もなく腹藁の文章を書いた。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
高浜虚子12・7(夕) 先日横山大観氏が席上揮毫で、画絹の書損ひをどつさり拵へて、神戸の富豪の胆を潰させた事を書いたが、人間の胆といふものは、大地震や大海嘯の前には平気でゐて、却つて女の一寸した嚏や、紙片の書潰しなどで、潰れる事があるものなのだ。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
その連中も今ではもう一|廉の俳人気取りで、田舎者の前などで、矢鱈に短冊の書損ねを行つてゐる。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
僕だって書損いだけなら容易に信用しやしないのですけれども、その前に吸取紙に押し取られているのを見たのです」「ふん、そんなにはっきり分ったのかい」「いゝえ、極めて不鮮明なんです。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
本の字と米だか林だかハッキリしない字と川の字、それから何とか内写真館と読めただけでした」「書損いの封筒の前にそれを見たんだね」「そうです。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
「いゝかね、ふだん非常に用心深い男がだね、書損いの手紙を屑籠に投げ込んで、それから君に掃除しろと云うのは可笑しいじゃないか、え、第一君を呼んで態※掃除さすのにだね、屑籠の中に重要な手紙の這入っているのに気がつかないと云う筈がないじゃないか」「そうでしたね、私はやられたんだ!
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
第十九行及び第三十二行の略※同位置に於てととそれ/″\記入されてゐるが、是は其所在の位置から推察して紙の順位を示してゐる數字と取られ、就中黒く消した所は書損のあつたものと取られる。
— 狩野亨吉 『天津教古文書の批判』 青空文庫