生欠伸
なまあくび
名詞
標準
文例 · 用例
春の日永に生欠伸で鼻の下を伸している、四辻の飴屋の前に、押競饅頭で集った。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
俎板とんとん庖丁チョキチョキ、出放題な、生欠伸をして大歎息を発する。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
規模は小さくっても、電燈も店飾も、さすがに地方での都会であったが、ちょっと曲角が真暗で、灯一つ置かない夜店に、大な炭団のような梨の実と、火が少しおこり掛けたという柿を積んだ、脊の低い影のごとき媼さんが、ちょうど通りかかった時、生欠伸を一つして、「おお寒、寒、寒やの。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
人見は痩せてひょろ長い体を机の前に立ちあがらせると、気持の悪い生欠伸をした。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
」と青木さんは、おくみが小さい方の間に敷いた蒲団の、自分で縫模様をお入れになつたシートの上に、毛布を着て長まつていらつして、下りて行きかけるおくみに生欠伸交じりにお言ひつけになる。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
要らぬ詮議立てじゃが、この木の芽どきに生欠伸ばかりしているも芸のない話じゃからな。
— 後の旗本退屈男 『旗本退屈男 第三話』 青空文庫
所へ例の男が首を後ろから出して、「まだ出さうもないですかね」と言ひながら、今行き過ぎた、西洋の夫婦を一寸見て、「あゝ美くしい」と小声に云つて、すぐに生欠伸をした。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
ところへ例の男が首を後から出して、「まだ出そうもないのですかね」と言いながら、今行き過ぎた西洋の夫婦をちょいと見て、「ああ美しい」と小声に言って、すぐに生欠伸をした。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫