探り求める
さぐりもとめる
動詞
標準
文例 · 用例
そういうわたしなぞが過去の事物を探り求める方法というものも実際狭い範囲に限られていて、真に考証の正確を期することは自分らの手の届かないところにある。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
遠い古代の遣唐使船が航路とてもいづれはその海の上であり、雪舟のやうな畫僧が中世の終に生れて南方支那の宗教と藝術とを探り求めるために風波の困難を凌ぎ進んだのもまたその海の上であつたらう。
— 島崎藤村 『桃の雫』 青空文庫
大東亜に新たな文化が要望せられるとすれば――更に、少しく局限して、新たな文芸が要望せられるとすれば、その建設をつきあげてくるところの、内なる力、中なる精神を、どこに探り求めるべきであろうか。
— 豊島与志雄 『神話と青春との復活』 青空文庫
やつと一と月ほど前から私に戻つて来た意識は、数ヶ月に亘る空白の彼方に旧い記憶を空しく手探り求めるばかりだ。
— 神西清 『恢復期』 青空文庫
生まれて、死ぬるまで、百年に充たない、取るにたらない、はかない存在であるのに、しかも、宇宙の秩序をいささかたりとも、探り求める存在として、みずからを創造したのである。
— 中井正一 『美学入門』 青空文庫
道徳的な何等の意味も、その形と色とから探り求めることは出來ない。
— 蒲原有明 『仙人掌と花火の鑑賞』 青空文庫
親指の腹に分布した末梢神経が、その立場の安全なりや否や、すなわち全身の重量を――この高い絶崖と遙か下方の急瀬深潭との中空において――托するに足るかどうか、を弁別し、次に進んでその全重量を支え、さらに続いて移るべき次の立場を探り求める……眼を思うように使えるほど、首の角度は、自由にならないから。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
前のは不意に雷のように宝に打たれて、後からそれをかみ砕くところに味があり、後のは探り求める道程に苦しみも楽しみもあって、最後に獲た宝にそれが昇華する。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫