黙言
もくげん
名詞
標準
文例 · 用例
袷をしゃんと、前垂がけ、褄を取るのは知らない風に、庭下駄を引掛けて、二ツ三ツ飛石を伝うて、カチリと外すと、戸を押してずッと入る先生の背中を一ツ、黙言で、はたと打った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
岡本はただ、黙言て首肯いたばかりであった。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
」 人々は投げだすように言ったが、近藤のみは黙言て岡本の説明を待ているらしい。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
叱言を、と思う頬辺を窪めて、もぐもぐと呑込んで黙言の、眉毛をもじゃ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
子供に向ってもがみがみ叱る性質で、一人の清吉という息子があったが、母親の気質に似ないで、父親のように黙言な、少しぼんやりとした大柄な子供であった。
— 小川未明 『蝋人形』 青空文庫
時としては、いくら黙言の柔順な清吉でも堪え切れんで顔を真赤にして拳を堅めて相手を睨むことがある。
— 小川未明 『蝋人形』 青空文庫