蜷
にな
名詞
標準
文例 · 用例
と考え出すと、南無三宝、も一つの瓶には蝮が居たぞ、ぐるぐると蜷局を巻いた、胴腹が白くよじれて、ぶるッと力を入れたような横筋の青隈が凹んで、逆鱗の立ったるが、瓶の口へ、ト達く処に、鎌首を擡げた一件、封じ目を突出る勢。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
加賀の大野、根生の濱を歩行いた時は、川口の洲の至る所、蘆一むらさへあれば、行々子の聲が渦を立てた、蜷の居る渚に寄れば、さら/\と袖ずれの、あしのもとに、幾十羽ともない、くわらくわいち、くわらくわいち、ちよツ、ちよツで。
— 泉鏡太郎 『木菟俗見』 青空文庫
富貴の色は蜷局を三重に巻いた鎖の中に、堆く七子の蓋を盛り上げている。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
しかし其長子政太郎は、文化四年生れの藤陰が蜷川氏を娶つて、弘化三年四十歳の時にまうけたものである。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
阪谷朗廬撰の墓誌には、「配蜷川氏、先歿、有二男、長曰政太郎、成立受譲継家、不幸早世、次子亦先夭」と云つてある。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
そこに父は好きな美濃派の俳書や蜷川流の将棋の本なぞをひろげ、それを朝夕の友として、わずかに病後をなぐさめている。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
即ち、被害者の足元に手繰り取られ、蜷局を巻いていたロープが、大騒ぎをしている被害者の体へ、自然と絡み附いたのです。
— 大阪圭吉 『デパートの絞刑吏』 青空文庫
音楽の時間が休みだったので蜷川さんと、この頃の心の様子を話し合う。
— 一九一六年(大正五年) 『日記』 青空文庫