盗泉
とうせん
名詞
標準
文例 · 用例
が、彼は「渇しても盗泉の水を飲まぬ」如く、もはや餓えてもお茶屋の飯をくうまいと思っていた。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
どれ帰つて、刀でも拭いて置かう」「荒尾君、夕飯の支度が出来たさうだから、食べて行つてくれ給へ」「それは折角ぢやが、盗泉の水は飲まんて」「まあ貴方、私お給仕を勤めます。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
「カッしても盗泉の水は飲まずか」と山木の源公が云った。
— 片岡鉄兵 『今度こそ』 青空文庫
やがて強盗谷、強盗泉あり。
— エルサレムよりナザレへ 『馬上三日の記』 青空文庫
つまらないようなはなしだが、渇しても盗泉の水をのまずということが頭にうかんだのである。
— 山本周五郎 『泥棒と若殿』 青空文庫
――渇しても盗泉の水は汲まず、貧にして餓死するはむしろ武士の本懐なり。
— 山本周五郎 『武道宵節句』 青空文庫
元より衣食の途はつかず、というて、身寄り頼りに縋って、さもしい頭も下げきれず、また、渇しても盗泉の水はくらわず――と頑固に持して、一同、この街道の橋袂に、貧しい納屋一軒借りうけ、槍だこに鍛えられている手で、馬の沓を作っていた。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
バルセロナの図書館は盗泉の水を飲んだのである。
— 辰野隆 『愛書癖』 青空文庫