様幾
さまいく
名詞
標準
文例 · 用例
坊やも寝られないねえ、――お月様幾つ、お十三、七つ――今も誰やら唄うて通ったのをお聞きかい、――山を川にしょ――ああ、この頃では村の人が、山を川にもしたかろう、お気の毒だわねえ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
「悲劇」の起因に関する「悲劇考」は嘗ての「喜劇考」と同様幾幅かの風景の描写に依つて現はしたいのが望みであるが、あの頌歌の合間で、私が息を衝く間に自らが取り交す諸種の対話を自ら注意することだけでも足りるのである。
— 牧野信一 『真夏の夜の夢』 青空文庫
渠等米錢を惠まるゝ時は、「お月樣幾つ」と一齊に叫び連れ、後をも見ずして走り去るなり。
— 泉鏡太郎 『蛇くひ』 青空文庫
一|人榎の下に立ちて、「お月樣幾つ」と叫ぶ時は、幾多の(應)等同音に「お十三七つ」と和して、飛禽の翅か、走獸の脚か、一躍疾走して忽ち見えず。
— 泉鏡太郎 『蛇くひ』 青空文庫
「斯うして天城を越すやうなことは、一生のうちに左樣幾度も有るまいね。
— 島崎藤村 『伊豆の旅』 青空文庫