紫花
むらさきばな
名詞
標準
文例 · 用例
ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端が二た叉になっていて、その一方の叉には葯があるのに他の一方はそれがなくて尖ったままで反り曲っている。
— 寺田寅彦 『高原』 青空文庫
色彩がある、例えば月夜スチャストリーヴェツ〔仕合せ者〕(丸まっちくって極めてロシア式ルンペンである)と、花束をもって、まるで陶器人形みたいな紫花模様の服をつけた家政婦のウリタが「上ったり下ったり」にのっかって遊んで、幸福者がふわふわ裾のウリタを宙のりさせるところ。
— 観劇日記(一九二九―一九三〇年) 『日記』 青空文庫
続いて亜米利加の百万長者ビュフォン夫人の「金の胡蝶」、聖林の大女優リカルド・コルテスの「ゴンドラ」、ドイネの名家ド・リュール夫人の「路易十五世時代の花籠」、……清楚なるもの、濃艶なるもの、紫花紅草、朱唇緑眉、いずれが花かと見|紛うまでに、百花繚乱と咲き誇る。
— 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻―― 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
人家にあるムクゲの常品は紅紫花一重咲のものだが、なおほかに純白花品、白花紅心品、紅紫八重咲品、白八重咲品等種々な変わり品があるが、こんな異品をひとところに蒐めて作りその花を賞翫しつつ槿花亭の風雅な主人となった人をまだ見たことがない。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
隠元禅師がもって来たと称する本当のインゲンマメは Dolichos Lablab L. という学名、Hyacinth Bean または Bonavist または Lablab という俗名のもので、これに白花品と紫花品とがあって共にインゲンマメと総称している。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
そしてその紫花のものを特にフジマメ、カキマメ(垣豆の意)、ツバクラマメ、ガンマメ、ナンキンマメ、ハッショウマメ、センゴクマメ、サイマメ、インゲンササゲ、トウマメといい、この漢名は鵲豆である。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
今この詩を幾度繰り返して読んでみてもチットもそれがアジサイとはなっておらず、単に紫花を開く山の木の花であるというに過ぎず、それ以外には何の想像もつかないものである。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫
これは『渓蛮叢笑』という本の中にある「紫花ニシテ全ク燕子ニ類シ藤ニ生ズ、一枝ニ数葩」(漢文)とほんのこればかりの短文から出たものであるが、この燕子花はじついうとキツネノボタン科(Ranunculaceae)の一陸草である Delphinium grandiflorum L. の漢名である。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫