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齧り

かぶり
名詞
1
標準
文例 · 用例
」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧りついた。
太宰治 走れメロス 青空文庫
酒の無い夜は、塩せんべいを齧りながら探偵小説を読むのが、幽かに楽しかった。
太宰治 東京八景 青空文庫
店へ来る客の中に、過般、真桑瓜を丸ごと齧りながら入つた田舎者と、それから帰りがけに酒反吐をついた紳士があつた。
泉鏡花 蠅を憎む記 青空文庫
松島はいままで本にばかり齧りついていて、工場には慣れていない人ですから、そんなことを言われると本当にしてしまいますわ」 彼女は雑役夫の言葉を否定した。
佐左木俊郎 猟奇の街 青空文庫
よく、青葉病といって、急に憂鬱になるか、それとも、見境いなく齧りつくような、亢進症になるか――。
小栗虫太郎 一週一夜物語 青空文庫
私も、思わず彼のに追従した悲鳴を挙げて、その首根に蛙のように齧りつかずには居られなかった、凡そ以前のゼーロンには見出すことの出来なかった驚くべき臆病さである。
牧野信一 ゼーロン 青空文庫
丑松が見廻りの為に出て行つた後、まだ敬之進は火鉢の傍に齧り付いて、銀之助を相手に掻口説いて居た。
島崎藤村 破戒 青空文庫
「お母さんの頸ッ玉へでも齧り付いて遣れば可いんだ」 才気をもった姉さんは捨吉の腹の底を抉るようなことを言った。
島崎藤村 桜の実の熟する時 青空文庫